FM三重『ウィークエンドカフェ』2020年8月15日放送

津市美杉町。
深い緑の森を抜けると小さな川が流れる。
ここに毎月定額の料金を支払うサブスクのキャンプ場があります。
今回は『ウッズランドMio』の織田拓さんがお客様。
通称オリタクさんが美杉のフィールドを使って楽しい展開を広げています。

月定額料金なので何度も美杉を訪れるお客様が増える

最初来た時は、夜は人の気配もないし、静かすぎて怖かったですが、今ではそっちのほうが心地よいです。
自然の音しか聞こえないんですよね。
人工的な音が殆ど聞こえません。
サブスクリプションという制度を導入していますが、1回来てテント張ってキャンプして終わりだと、結局「あのとき美杉でキャンプしたなあ」くらいしか記憶に残りませんが、サブスクにすると月額自動的に課金されるので、何度も来ないと損じゃないですか。
何回も来ることで、「前はテントを張っただけだったから、今回はお洒落なカフェでも行こうか」や温泉に入ったり、バリエーションが生まれます。
そうすると美杉のことを知ることになるので、その会員さん同士でカフェ情報やレストラン情報などの情報交換をすることで、聞いた会員さんが、また行きたくなるような…そんな流れを作っていけるといいですね。
ここはキャンプ場ですが、プラットフォームになって、美杉の観光をする上での中継地点にならないかな、と思っています。
けっこういろいろな人が、いろいろなお店を紹介してくれています。
ここのジビエが美味しいよ、温泉だったらここがいいですよ、とか。
オススメすると本当に行ってくれるので、それで良かったりすると話題になりますよね。

 

世話になった美杉の人たちに恩返しがしたい

僕が三重県に来たのが今から8年前。
サラリーマンを経て、三重大学大学院に入学しました。
ここは両親が持っていた土地なんです。

今までここでいろいろしてきて、ここの自治会長もしたりと、がんばってきました。
人によってどのくらい評価してくれるかはわかりませんが、僕はけっこうお世話になっている方なので、美杉に恩返しをしたいという気持ちがあります。
例えば薪などももらったり、一人暮らしだからと野菜をくれたり、ご飯をもらっったり。
あと、「こういうことをしたい」と言うと手伝ってくれたり…。
けっこういろいろな人にお世話になってきました。
楽しい思いもさせてもらってきました。
もともと、大学を卒業して博士号を取ったらどこか別の地域に行くつもりでしたが、やっぱりここで住もうかなと思い、そのまま卒業してもここにいて、なんとかここで生きるすべを得たいと思い、最近思いついてキャンプ場をはじめました。
キャンプ場するのも土地を造成するのも地域の土建屋さんが手伝ってくれたり、林業家さんが木材をくれたり伐採をするのを手伝ってくれたり。
あとはダンプやユンボを貸してくれたり、けっこういろいろなところで未だにお世話になっています。
お世話になりつつ、ここに来てくれたお客さんを美杉の地域に還元するような形で、お互いWin-Winな流れになればなと思っています。

 

生が自由に動けるフィールドで地方創生を学ぶ

卒業してその後、大学の教員をしていました。
教員と言っても、例えば生物学を教える先生というような普通の教員ではなく、地域の魅力をもっと伝えるにはどうしたら良いか…という任務がありました。
授業で伊勢志摩や熊野の様子を見せて、三重県ってこんなに広くて魅力があるんだということを伝える教員をしていました。
基本、座学ではなく、外に連れて行きます。
さらに、授業だけでなく、学生がもっと自由に動くことができることをしようと。
授業だとその中でしか動けませんが、意欲のある学生はもっとしたいことがいっぱいあるだろうと、地方創生や地域活用をしようというクラブチームを立ち上げました。
そこにたくさん学生が入ってくれました。
いろいろなプロジェクトが立ち上がっていて、その中の一つとして、美杉に来てもらって、キャンプ場を手伝ってもらったりしています。
また、津市美杉の総合支所の津市職員の方たちと協力し、空き家バンクのプロモーションのために、空き家でイベントを行い、都会の人たちに美杉でこういう生活ができますよ、という体験してもらったり、いろいろコラボしています。

 

来の不安はあるが、自信を持つ武器が増えている

学生の成長を見ることも楽しいし、、自分自身のやりたいことがどんどん溢れてくる感じです。
学生の成長は、人が変わっていくさまを見ることができるし、そのきっかけを自分が与えられるポテンシャルを持っているということ。
それを最大限に生かしていかないとダメだなと思います。
「これやってみたら?」という提案をたくさん投げまくると、どこかでハマるのが出てくるんですよね。
そういうきっかけをどれだけ与えることができるか、というのが今の教員に必要なスキルなんじゃないかな。
勉強は、本当に教科書を読んでやる気さえあればできますが、「こういうことやってみたら?」と言ってできる環境って、誰かが作ってあげないと絶対無理じゃないですか。
やはり、これからはそこが重要なんじゃないかな。
勉強しているだけなら多分、YouTuberの方がうまいです。
サラリーマンをしていた時は、このままずっとこうして働くのだろうか…と、漠然とした『楽しくなさ』を感じていました。
そして将来に対する不安感。
こちらに来て、将来に対する不安感はまだあります。
収入が多いわけでもないし、過疎がどんどん進んでいく中、最終的にどうなるのかという不安感はあります。
ただ、今が楽しいのと、その不安感に立ち向かっていくための武器があるというか…考えたらいろいろできそうというか。
不安はあるけど、それを打開するためのツールも揃ってきたというか。
そのツールをどう使うのかも自分次第ですが、前にサラリーマンをしていた時は、そのツールがわかりませんでした。
なので不安感があるのに、どうしていいかわからない状態でした。
将来に対する不安感は抱えつつも、昔と今ではぜんぜん違うんです。
今は、その不安感に対してできるアクションの幅が、ぜんぜん違います。

毎日が前向きに考えられるようになりました。
多分、美杉に来ていなかったら、そういう考えには至らなかったと思います。